紀平梨花/衣装
フィギュアスケートでは、衣装選びも試合では大切な役割を果たしていると思います。
音楽、表現しようとしている世界観に合っているか。
また、自分自身に合っているか。
着ている衣装で自身のモチベーションに影響を与えることも考えられます。
昨今はロシアの選手を筆頭にバリエーションも多岐に渡っている衣装ですが、今回はその衣装に着目して、最も世界で活躍している日本代表、女子フィギュアスケート選手である紀平梨花選手の衣装を振り返ってみます。
2020/2021 ショート・プログラム(SP)
昨シーズンSPでは華麗な片手側転を見せたプログラム。
プログラム使用曲はThe Fire Within(ジェニファー・トーマス)
重厚な曲調の音楽でありながら、静かに燃える炎を連想させるタイトルの音楽ですが、衣装の印象としては、静かに燃えている印象はないです。
特に静けさを感じさせない。
個人的には、黒タイツ×白いスケート靴に対して、黒タイツにするのであればスケート靴まで黒く被せられるタイプか、もう少し薄い生地で肌が透けて見えるタイプが良かったと思います。
紀平選手はあまりハッキリとした彩色の色が似合わないなぁと思います。
2020/2021 フリー・スケーティング(FS)
Baby, God Bless You(清塚信也)
やさしく包み込むような曲調のピアノに合わせたプログラムです。
胸元が開いており、露出多めですが、紀平さんはあまり肌の露出のある服は似合っていないかと思います。
髪飾りもフワフワしていますが、似合っていないのです。
こういうフワフワ系が本当に似合うのは、三原舞依選手、山下真瑚選手のような演技、表情、仕草、思考の全てが柔らかな印象で包まれている女性。
紀平選手は、インタビューなどから自己肯定感の強さを感じさせる部分があります。
確かにこの音楽に合わせるのであれば、この衣装というのは間違いではないのですが、紀平選手に合っていないと思うのです。
2019/2020 ショート・プログラム(SP)
Breakfast in Baghdad(ウルフ・ワケーニウス)
エキゾチックな曲調のプログラムで非常に紀平選手に合っていました。
振付と曲調はとても紀平選手に合っていました。
このような難しい曲調のものでも演じられるのが紀平選手の強みですね。
バグダットで朝食・・・イラク、ということはイスラム系ファッション。
長袖で肌を隠した点は良かったですが、大きく胸元がV字に空いたこの衣装。
コバルトブルーに金の刺繍というのも良くないですね。
背中も大きく開いている点や、スカートのフリルの形、髪飾りが良くなかったなと思います。
せっかく素晴らしいプログラムなのに。
2019/2020 フリー・スケーティング(FS)
International Angel of Peace
当シーズンは紀平選手のどんな音楽にも対応できる感性を惜しげなく発揮した
難解な音楽をプログラム使用曲にしており、FSでも朝鮮の王朝のような音楽、アクション映画のダンジョンに入ったかのような音楽、インド系民族音楽、ネバーエンディングストーリーのような曲の組み合わせです。
これはもはやイメージに合った衣装を作るのは困難極めますね。
どうやら紀平選手の為に組み合わせたオリジナルの音源なんだそうです。
この衣装も青系×金色の刺繍ですが、本当にださいです。
朝鮮っぽさやインドっぽさは若干感じられますが、金色の刺繍ではないと思う。
そして、SPの衣装と同じく、背中が大きく開いている点、
スカートのフリルの形、髪飾りが良くないんです。
終盤、衣装を変えてきました。
これは紀平さんに合っていたと思います。
唐草色、紀平選手にはこういった中間色が合っています。
背中を開けているのですが、どうしても肌を見せたいのですね。
透け感のある生地を使って、肌を出さないようには考えないようです。
2018/2019 ショート・プログラム(SP)
月の光(クロード・ドビュッシー)
数多くのスケーター達が使用してきたプログラム使用曲。
幻想的な世界観を感じさせる曲調であり、シニアデビューしたばかりの紀平選手が、
既にここまでのやわらかな表現力があるということを思い知らされたプログラムとなりました。
演技力は別として、羽とスワロの色と化粧が気になりますが、
シニアデビューしたばかりの初々しさが、この淡い水色ととても合っています。
綺麗な衣装です。
紀平選手に似合っているというよりは、年齢に適した衣装という感じではあります。
背中開けなくて良かったと思う。
それとお決まりのような髪飾りと合わせてくるところはこの頃からずっと同じですね。
2018/2019 フリー・スケーティング(FS)
A Beautiful Storm(ジェニファー・トーマス)
大地の力強さ、嵐の前の静けさ、自然の驚異、そういったものを感じさせる音楽であり、この時の紀平選手は全てを完璧に演技していました。
そして、衣装も完全に適合していました。
薄暗い雲に覆われた夜空を思わせるグラデーション。
雷を思わせる刺繍とスワロのデザイン。
スカートの形も完ぺき。
髪飾りもこれは良かったです。
ベスト・オブ・紀平でした。
以上、紀平選手のシニアデビューから2020/2021シーズンの大会衣装を振り返ってみました。
フィギュアスケートでの衣装は戦闘服であり、選手がそれを身に纏うことによって、
力を発揮することができるものであるべきだと考えています。
今後、益々の活躍をお祈り申し上げます。